社長BLOG
流行らない自由だってOSSにはある
- 2011-12-06 (火)
- 社長BLOG
Firefoxがピンチ?という記事で、湯川さんがOSSについてのコメントをされていた。
それにしてもオープンソースって新しい時代の究極のビジネスモデルとして期待されていたのに、どうして機能しなくなったんだろう。ちょっと考えてみたい。読者のみなさんはどう思われます?
この記事を読んで誤解された方がいそうなので、
オープンソースプロジェクトに関わる専門家の端くれとして説明する。
ソースがオープンになっていればOSS
オープンソース=ビジネスモデルではない。
OSSの本質は「ソースコードがオープンになっていて、自由だ」ということ。
単なるソフトウエア、ソースコードの利用方法についての概念でしかない。
この「ソースコードがオープンだ」という概念が、これまでのソフトウエア業界ではなかった様々な価値を産み出すことにつながる。
オープンだから、世界で一番このプロジェクトに関わるべきエンジニアが、地域や職業、社会的ポジションなどに関係なく、自由に開発に関与することができる。
オープンだから、誰かが開発をやめても他の誰かにスムーズに引き継ぐことができる。
オープンだから、ビジネス化し儲けをあげて常勤のスタッフを雇い、さらに拡大していくこともできる。
そしてオープンだから、大きくしたプロジェクトを縮小することだってできる。流行らない自由だってあるんだ。
Firefoxのあゆみ
そもそもFirefoxはエンジニアが自分たちの好きなソフトウエア開発をしていたら、たまたま時代の光を浴び、たまたま検索連動広告という金脈も掘り当て、たまたま強力なビジネスモデルが見つかった。
それでもオープンソースはオープンソースだし、流行れば流行ったで自由だし、流行らなければそれも自由だ。
Firefoxはオープンソースとしてのプロジェクト運営のひとつの道を歩んでいるだけであって、例えGoogleとの契約がこじれて収入が激減したとしても、オープンソースそのものが機能しなくなったわけではない。
湯川さん勉強して
湯川さんのコメントは
「オープンソースはビジネスモデルの一形態としてはどうして機能しなくなったのだろう」
と書き間違えたんだと思う。間違っても
「オープンソースはどうして機能しなくなったのだろう」
と言っているわけではない。そう思いたい。実際にオープンソースは様々な分野で利用され成功している。
そもそも「オープンソースで失敗」という言い方自体が難しい。オープンソース自体は失敗することがとても難しい。
会社は潰れたら失敗、商用ソフトウエアは開発費よりも売れなかったら失敗、ビジネスは儲からなかったら失敗だ。
オープンソースは、会社が潰れようが、ビジネス化されなかろうが、オープンソースとしてその成果は残る。これがオープンソースが失敗しにくい。という理由だ。
今回の湯川さんのコメントの失敗は、オープンソースというエンジニアの創造性の産物を、単なるビジネスモデルの一つとしてしか見られていないというように、自分のようなエンジニアから見られたこと。
TechWaveはもうちょっと「エンジニアの創造性」について考えてくれるといいな。